
2025年10月、Yahoo!広告(YDA)に「ポートフォリオ入札機能」が登場します。
この新機能は、複数のキャンペーンを横断して入札設定をまとめて管理し、全体最適化を自動で行う仕組みです。
これまでキャンペーンごとに設定していた入札戦略を一括管理できるようになることで、運用工数の削減と成果の安定化が期待されます。
筆者の印象として、Google広告の「ポートフォリオ入札」がようやくYDAにも実装された形であり、Yahoo!広告運用における一大アップデートといえるでしょう。

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YDAポートフォリオ入札とは?
複数キャンペーンを横断的に最適化する新しい入札機能
YDAのポートフォリオ入札とは、アカウント単位で複数のキャンペーンをまとめて管理・最適化できる入札戦略のことです。
これまでのYDAでは、各キャンペーンごとに目標CPAを設定し、それぞれが独立して最適化されていました。
しかしこの方法では、成果が出やすいキャンペーンに十分な予算を回せず、全体のパフォーマンスが頭打ちになることもありました。
ポートフォリオ入札を利用すれば、同じ目標CPAを持つ複数のキャンペーンを一括で最適化できます。
システムが全体の実績を見ながら入札価格を自動で調整するため、アカウント全体の成果最大化が可能になります。
特に商品ラインナップが多いEC企業や、複数エリアで広告を展開するローカルビジネスには効果的です。
これまで「細かく分けすぎたキャンペーンが非効率だった」ケースに最適解を提示してくれる機能です。
ポートフォリオ入札の仕組みと従来との違い
個別最適から全体最適へ
従来のYahoo!広告では、キャンペーンごとに設定した目標値をもとに最適化が進んでいました。
たとえば、キャンペーンAはCPA1,000円、Bは500円、Cは1,500円と設定した場合、それぞれ独立して成果を追求します。
一方ポートフォリオ入札では、全体で目標CPA1,000円を目指すように自動調整が行われます。
成果が出やすいキャンペーンには多くの予算が配分され、成果が低いキャンペーンは抑制されるため、結果的に全体の効率が最適化されます。
これは、Google広告のポートフォリオ入札と同様の考え方です。ついにYahoo!広告も「全体最適」を重視する段階に進化した印象です。
「個別入札」と「ポートフォリオ入札」の違い
| 項目 | 個別入札設定 | ポートフォリオ入札設定 | 
|---|---|---|
| 最適化単位 | 各キャンペーンごと | 複数キャンペーン全体 | 
| 目標設定 | キャンペーンごとに設定 | グループ全体で共通設定 | 
| 学習データ | 各キャンペーンの実績のみ | グループ全体の実績を共有 | 
| 成果の安定性 | 新規は不安定になりやすい | 安定した配信が可能 | 
YDAポートフォリオ入札の主なメリット
運用工数の削減
複数キャンペーンの入札をまとめて管理できるため、設定や調整の手間が大幅に軽減されます。
たとえば、セール期間中に全キャンペーンの目標CPAを一括で変更することも容易になり、日々の運用負担を減らしながら、戦略的な判断に時間を割けるようになります。
実績が少ないキャンペーンでも安定配信
ポートフォリオ入札では、複数のキャンペーン実績をまとめて学習します。
そのため、配信初期やデータが少ない新規キャンペーンでも、既存キャンペーンの実績を活用して安定した成果が出やすくなります。
特に、ブランド新商品の立ち上げ時や短期キャンペーンの開始直後などに強い効果を発揮します。
全体パフォーマンスの最大化(共有予算との併用)
共有予算と組み合わせることで、キャンペーン間の予算移動が柔軟に行われます。
たとえば、CPAの良い「キャンペーンA」へ自動的に多めの予算を配分し、成果の悪い「キャンペーンB」を抑制するといった動きが可能です。
「入札最適化+予算最適化」のダブル最適化によって、広告費全体の効率を最大化できます。
利用できる入札戦略
対応するのは自動入札戦略のみ
ポートフォリオ入札では、手動入札は利用できません。
対応している主な戦略は次の通りです。
- クリック数の最大化
- コンバージョン数の最大化(目標値あり/なし)
- コンバージョン価値の最大化(目標値あり/なし)
- 友だち追加数の最大化
- 動画再生数の最大化
- ビューアブルインプレッション数の最大化
特に「コンバージョン数の最大化(目標値あり)」は汎用性が高く、まず最初に試すべき戦略です。
設定手順 ― 広告管理ツールでの操作方法
ステップ1:ライブラリから新規作成
広告管理ツールのメニューから「ツール」→「ライブラリー」→「ポートフォリオ入札」を選択し、「作成」をクリックします。
ステップ2:対象キャンペーンを選択
ポートフォリオ入札を設定したいキャンペーンを選択します。複数選択も可能です。
ステップ3:共有予算を設定(推奨)
「共有予算を利用する」を選択すると、新たな共有予算が自動的に作成され、ポートフォリオ単位での最適化が行われます。
この「共有予算×ポートフォリオ入札」の組み合わせこそが、Yahoo!広告運用の次世代スタンダードになっていくでしょう。
利用時の注意点と制約
利用できないキャンペーン目的に注意
「アプリ訴求」目的や「インストリーム広告」を配信するキャンペーンではポートフォリオ入札を利用できません。
A/Bテストには非対応
A/Bテストではポートフォリオ入札が考慮されないため、テスト結果が歪む可能性があります。A/Bテスト実施時は設定を外すのが望ましいでしょう。
CSVインポート時のエラー
ポートフォリオ入札が設定されているキャンペーンに対し、入札戦略や価格をCSVで上書きするとエラーになります。手動修正する際は、入札欄を空欄にしておく必要があります。
API・キャンペーンエディターの対応状況
Yahoo!広告キャンペーンエディターは同時対応となり、Yahoo!広告APIはv18から利用可能です。
運用ツールを利用している場合は、バージョン互換を確認したうえで導入しましょう。
YDAポートフォリオを活用した運用のコツ
共通KPIを持つキャンペーンをグループ化
同一のCPAやROAS目標を持つキャンペーンをひとまとめにして管理するのが基本です。
ジャンル・商材・目的が近いものをまとめることで、より正確な最適化が行われます。
新規キャンペーンの学習を短縮
過去実績のあるキャンペーンとまとめることで、学習不足による配信の不安定さを補えます。
特にブランド新商品の立ち上げ期には効果的です。
共有予算と組み合わせてROIを最大化
共有予算を設定することで、成果の良いキャンペーンへ自動的に資金を寄せ、全体のROIを向上させることができます。
これまでYahoo!広告は「部分最適の積み重ね」でしたが、ポートフォリオ入札により“アカウント全体の戦略運用”へとシフトしていく時代が来たと感じます。
まとめ ― Yahoo!広告運用の新たな標準へ
YDAのポートフォリオ入札は、自動最適化・予算調整・工数削減を一体化した進化型の入札機能です。
これにより、従来の「手動調整+分散運用」から、「全体最適+自動運用」へと進化します。
Google広告に追いついたどころか、共有予算との連動性を考えれば国内運用者にとって非常に実用的な設計といえるでしょう。
今後、Yahoo!広告運用を効率化し、安定した成果を目指すなら、この「ポートフォリオ入札機能」は避けて通れません。

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